第24章 びゐどろの獣✔
「君への手紙を認(したた)めた後に、更に不可解な現象が起こった。鬼の仕業かも定かではないが、可能性がないとも言い切れない。蛍、もしくはこの村全体が血鬼術にかかっている可能性がある」
「村全体だとォ…? 雑魚鬼の仕業じゃねェな」
「うむ。もしかしたら十二鬼月かもしれん。蛍も前に一度接触している」
「! そいつは本当か」
寝不足からではない、血走るような実弥の目が蛍を捉える。
詳しく話を聞かせろと視線で訴えてくる彼に、杏寿郎も頷いた。
「今まで起きたことを話そう。だがその前に、任務を全うしてきた不死川を労わらねばな!」
「あァ? んなもん別に──」
「ということで、どうだ一緒に」
すっくと立ち上がった杏寿郎が、爛々と輝く目で誘う。
寝不足ならば睡眠を、空腹ならば食事を与えなければ。
しかしその前に、疲労した体を綺麗にするのが第一と。
「湯浴みでも!」
片手を差し出し意欲的に誘う杏寿郎には、有無を言わさない空気すら感じた。