第23章 もの思へば 沢の蛍も 我が身より✔
深く息をつく。
分厚い腹筋に手をつくと、柚霧自ら上下に腰を揺すり始めた。
その度に揺れる真っ赤な着物から覗く白い体は、対比で余計に目に映える。
全てを丸裸にせず隠しているからこそ、ちらりちらりと覗く肌が誘うように艶やかさが増す。
「っは…ッんっんぅっ」
たん、たん、と肌がぶつかり合う度に、乱れる柚霧の髪、声、胸。
流水紋のふすま障子を背後に踊るように揺れる様は、正に水面を舞う金魚のようで。下から見上げるその姿に、頭が沸騰しそうになる。
食い入るように見上げながら、腰に直接伝わる快楽の波に杏寿郎は歯を食い縛った。
「く…っぅ、」
「はぁ…ッきもち、です…か…っ?」
「ああ…っ」
「んッ私、も…っ杏寿郎さんの声を聴いてるだけで、気持ちよくなります…っ」
「ぅ…ぁっ柚霧、」
淫らに腰を揺らすその姿だけで興奮を覚えるというのに。杏寿郎自身を温かく包み、同時に絞り上げようと締め付けてくる。
五感を責め立ててくる柚霧の姿に、噛み締めた口の端から僅かばかり嬌声が漏れ落ちた。
「いつでも、果てて大丈夫、ですから…っふ、ぅ…ッ私の中に、全部出して下さい…っ」
「そうしたいが…っまだ俺は君と繋がっていたい」
「あッ」
溜らず伸びた手が、揺れる胸を掬うように握る。
柚霧自身の揺れで踊る胸は、その度に先端を杏寿郎の掌に擦り付けた。
「は、ぁんッあ…っ」
仰け反る柚霧の片手が、後方に付く。
傾斜のできた蜜壺の中を、抉るように上下する陰茎が、過敏な上壁を擦り上げた。
「ぁッ! ん、は…!」
「そこが善いのか?」
「は…い…っきもち、い…ッ」
揺れる柚霧の腰が小刻みに震える。
弱くなる律動に反して、赤く染まる身体。
快感に浸っているのだと一目でわかった。
杏寿郎の掌が、柚霧の下腹部にぴたりと触れる。
仰け反るその角度を固定するように押し当てたまま、自らも腰を揺らし下から突き上げた。
「ひ、あッそれ駄目ですっ」
「何故? 気持ちいいんだろう?」
「でも、これじゃ…っあ、ぁ…! 杏寿郎さん、を…はッ…気持ちよく、できな…ッ」