第16章 初任務《壱》
ぴくんぴくんと余韻を残す肌を撫でながら、枕に埋もれた小さな頭に手を伸ばす。
するりと顎に手を添え優しく持ち上げれば、蕩けた瞳と視線が合う。
充血した半開きの唇は自身の唾液で濡れそぼり、高揚した頬に湿気で濡れた髪が張り付く。
青々しさなど何処へやら。すっかり熟した果実のように変貌した蛍の様に、杏寿郎はごくりと唾を呑み込んだ。
(嗚呼、本当に)
自然と口角が深く上がる。
「食べ尽してしまいたいくらいに、君は愛らしいな…」
熟した果実を味わうが如く。
ゆっくりと濡れた唇に舌を差し込み丹念に味わう。
「ふ、ふぅ…んっ」
辿々しくも応える小さな舌先が尚の事愛らしくて、同時に自分の中に宿る熱も増していくようだ。
「っは…どうにも、己の熱が抑えられそうもない…蛍の体で静めさせてくれ」
「っぁ」
着衣はそのままに、ズボンのボタンを緩めた隙間から覗く猛りの塊。
熟した秘部の入口に擦り付けられ、ひくりと蛍は顎を上げた。
小さな体では到底受け入れられるとは思えない質量に、そわりと肌が騒ぐ。
しかし丹念に解され杏寿郎の味を十分知っている体は、そこに期待しているのか。
尚も溢れさせる愛液に、ぬるりと熱い亀頭が蛍の入口を擦った。
「は、あッッんむっ」
思わず上がる嬌声を止めたのは、口を塞いだ大きな手。
「君の声を聴いていたいが、此処は個室であっても車両の中。少しだけ声を抑えてくれ」
「む、う」
「大丈夫だ。痛くは、しないから」
その言葉通り、杏寿郎に抱かれる際に痛みを伴ったことはない。
不器用ながらも蛍の感度を探り、常に気を巡らせ抱いてくれる。
偶に熱い思いをそのままにぶつけられることもあるが、その時は熱に翻弄され共に快楽に落ちていくだけだ。
片手で蛍の口を塞いだまま、空いた手で細い両膝をぴたりと合わせるように抱く。
蛍の股の間に挟むようにして差し込んだ男根を、杏寿郎は熟した秘部に擦り付けた。
「んむ…ッ」
蛍の中に挿入することはない。
しかし隙間なく合わさる熱い男根が、解れた蜜口を、充血した陰核を、擦り刺激してくる。
指や舌とは違う確かな快感に、蛍の喉は震えた。