第8章 美味しいご飯
花見に行った日から、数日がたった。
日に日に、千鶴ちゃんの頬と
腕の傷が、治っていく。
あーあ…。
別れの日も近いかなぁ。
そう思いながら、千鶴ちゃんの隣で
朝食を食べている時だった。
平助「…そういやさぁ、前にも言ったけど…」
原田「ん、何だ平助。」
平助「……千鶴の飯、食いたい。」
………
数秒、沈黙が流れた。
斎藤「…また無茶なことを…」
その沈黙を破ったのは、一君で。
その一君は、呆れ顔で茶碗を持ち直した。
平助「だ、だって…怪我が治っちまったら、千鶴は自分の家に帰っちまうんだろ?…なら、治っちまう前に──」
斎藤「彼女の負担になるだろう。完治が長引いたら、どうするつもりだ。」
『あ、あの、私は…』
沖田「それはそれでいいんじゃない?」
僕はきっぱりと言った。
だって、完治が長引いたら、
また治るまで彼女といられる。
それって、逆にいいことじゃない?
…まあ、その分、彼女に負担がかかっちゃうけどね。
斎藤「総司、何を言って──」
沖田「完治が長引けば長引くほど、僕たちは彼女と一緒にいられるんだよ。」
『…///』
そう言いながら千鶴ちゃんの方を見ると、
顔を赤くしていた。
はぁあ、カワイイなぁほんとに。
純粋っていうか、恥ずかしがり屋っていうか。
原田「…お前…まさかっ」
沖田「んー?」
冷や汗をかく左之さんの方を向いて、
僕はにっこりと笑った。
斎藤「…やめとけ総司。」
沖田「なんで?」
斎藤「あんたはいつ死ぬかわからないんだぞ」
沖田「そんなこと、一君に言われる筋合いはないよ。」