第7章 笑顔と桜の花
『──…や、やめて、くださいよ…そんな冗談…』
沖田「…今のを冗談、って思うんだ?」
『だ、って……私っ…』
沖田「そんな理由でここに留まったわけじゃない。…今朝、言ってたよね。」
『わ、わかっているならっ──』
沖田「でも僕は、…そんな理由で、キミをここに留まらせたんだよ。知ってた?」
『ぇ…』
オレンジ色に染まる空を背景に、
沖田さんは優しく笑う。
沖田「理由はわからないけどね。…たぶん、キミは"裏"がないから。」
『…裏…』
沖田「そう。誰かしら、必ずあるでしょ?裏の性格。」
『…』
沖田「みんなはそれを隠してる。…でもキミは、隠さない。そこが気に入ったのかもね?」
確かに、私は嘘もつかないし、
自分の悪いところを隠したりもしない。
そんなとこを…沖田さんが…?
沖田「…今朝、キミに怒鳴られたときはビックリしたよ。僕ら新選組に、怒鳴る人っていたんだーってね。」
『…すみません…』
沖田「謝ることじゃないよ。むしろ、キミのことを知れたんだし、いいことじゃない?」
『……』
言葉がでない。
何を言えばいいのかわからない。
返す言葉が見つからない。
言い返しても、同じような言葉が返ってくるだろう。
言い返しても、沖田さんはただ微笑んで…
優しい言葉を返すだけ。
…どうしてそんなに優しいんですか?
聞きたいけど、聞けない。