第5章 春に出会った
ふと後ろを振り返ると──
???「…ん」
『っ!?』
この人は確か…
三番組組長、斎藤 一…。
『…あ、あの、この人…』
そんなことよりも、いきなり"気絶した男"が
気になった。
見ると、男は
脇腹を抱えてうずくまっている。
斎藤「案ずるな。峰打ちだ。」
『ぁ…』
"峰打ち"の言葉を聞いて、心の底からホッとした。
私はあまり、"赤い液体"は好きではない。
『あ、えと…助けてくださってありがとうございましたっ』
お礼をすっかり忘れていた私は、
焦りながら頭を下げた。
平助「いや、いいよお礼なんて!!…巻き込んだのはこっちだしさ。」
『っ、でも…』
斎藤「この男は、我々が追っていた者だ。逆にこちらから礼を言いたい。」
『え』
沖田「キミが居なかったら、この男を取り逃がすとこだったしね。」
沖田さんは、ヤレヤレといった表情で苦笑いをした。