第13章 それを返せ!
沖田「さて、と。もう一回読もうかなぁ」
『っ?何をですか───て、えっ!??』
手に持っていた茶碗を置き、
にっこりと笑いながら、懐から"何か"を出す沖田さん。
そ、それは…っ!!
『ど、どうしてっ…返したんじゃないんですかっ!?』
沖田さんが今、手に持っているのは…
土方さんの元に返ったはずの、"豊玉発句集"の冊子。
どうやって取り返したのだろう?
沖田「ん?ああ、あれは偽物だよ。本物を、そんな簡単に返すわけないでしょ?」
すり替え…。
その言葉が、私の脳裏をよぎった。
沖田「よし、それじゃあ読もうか」
黒い笑顔を私に向け、沖田さんは音読し始める。
───大声で。
沖田「水の北ぁ~っ、山の南や春の月~っ!!」
『ちょ、ちょっと沖田さんっ!?』
そんな大声で喋ってしまったら、土方さんに聞こえてしまうかもしれないのに…っ
命知らず、とは、まさに沖田さんのことだろう。
と、私は思った。
沖田「露のふる~っ、先にのほるや~稲の花~っ!!」
『っ沖田さ…』
そぉぉおおおおじいいぃぃぃぃっ!!!!!!!!!
『っ!?』