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彼女が□□した日。

第2章 家。


で、もうひとつのが手紙で届く依頼。赤い蝋で封をされてるのが目印。
そっちの方は最近こなくなった。
同居人を通しての依頼で、音楽活動以外の仕事。
まあ、なんて説明すればいいのかよく解んないけど重要な仕事。多分。




イオ「お。届いてる。
えーと・・・・・・人間味の無い曲ぅ?
・・・これまたマニアックなのがきたねー」




しかも送信主は不明ときたものだ。

いや違うか。
このアドレスには記憶がある。
時々依頼してくる、やたらめったらマニアックな事を注文してくる人。

なんでか知らないけど匿名。
私がピアノオンリーで作ったBGMばっかを収録したCDを売り始めたくらいから、依頼してくるようになった。


1番最初のこの人のリクエストはなんだったかな・・・。




イオ「・・・あー、確かつまらない日常を変えてくれる曲だったっけ。
面白いリクエストされたもんだから張り切ったっけかー」




あんまりされない、と言うかされた事のなかったリクエストだった。
この人日常に飽きてるのかー、とか客観的に思った。

リクエストされた曲を私なりに作って返信すれば、日を置いてまたリクエストされた。
何回かリクエストをしてくれるって事は、私が作る音楽を気に入ってくれてるのかな。


今回も作りがいのあるリクエストをされたなー。




イオ「人間味の無い曲、か・・・。
んー・・・・・・人間っぽくない、ねえ」




スマホを片手に考えてみる。

小難しいリクエストほど、いい感じに仕上がる。
依頼されたからには、その期待に答えねば。


都会の喧騒から距離のあるこの家の夜は、長い。
余計な不協和音とか雑音が聞こえない。
聞こえてくるのは夜の音。
風とか、フクロウの鳴き声とか。
家には五月蝿くなるようなテレビとか目覚まし時計とか、そう言うのは一切置いてない。

私も同居人も、耳障りなのは嫌いだから。


そんな静かな環境だから、私も作曲活動は存分に楽しめる。
さて、どんな曲にしようかな。
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