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彼女が□□した日。

第1章 虹。


ザア、と雨の音が耳に届いた。




イオ「わ、天気予報様様。
てるてる坊主も真っ逆さま」




スマホを触る気にもならなかったから、窓の外に目を向ければ案の定大雨。ほんの10分前くらいは曇ってた程度だったはずなのに。

これはラジオでも言ってた通りにこれから極地的な土砂降りになる前兆だろう。


いつも持ち歩いてる雲柄トートバッグに着けてる、てるてる坊主のマスコットを外す。

てるてる坊主の頭のてっぺんからちょこんと出てる糸に指を通してくるくると回す。



ばさっ



イオ「おぷ」

「1人でなーにやってんのさ、ヒメ猫ちゃん♪」

イオ「わー、視界真っ暗ー。
そっちこそなにすんのさ、無神クン」




いきなり視界が暗くなった。

かと思えば今ではすっかり聞き慣れた声が割と近くから聞こえた。


雨の音はまだ消えそうにない。


ばさってしたのは、多分タオルか何かを掛けられたのかな。
その証拠にほら、見知った顔が目の前に現れた。




コウ「暇そうにしてたヒメ猫ちゃんを見つけたから、同じく暇してた俺からサプライズプレゼントしようと思ってさ」

イオ「わーありがとう。気持ちだけは受け取っとくー」

コウ「えー、気持ちだけ?
て言うか相っ変わらずリアクション薄ーい・・・こーんなイケメンが至近距離に居るのに、ちょっとはビックリしてくれてもいいんじゃないのー?」

イオ「あーびっくりしたー」

コウ「ちょっと、それ全然ビックリしてないよね?」

イオ「びっくりしてるしてる。
もう心臓ばっくばく」

コウ「・・・ぷっ、いつもの無表情のまま言うとか・・・。
ほんっと、ヒメ猫ちゃんてば面白いね」



ぱっ



お、明るくなった。


目の前には何が面白かったのか、クスクスと笑う金髪の美形。
その手には今しがた私に掛けていたであろうタオル。どこかで見たような気がするロゴが入ってるところを見ると、デザインタオルかな。


なるほどー。
あのタオルを掛けられた上で至近距離で覗き込まれたのか。
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