第8章 夏合宿2日目。
side黒尾
何やってんだ俺は…
俺は乱暴に頭を搔く。
あんなことするつもりなかったのに。
頬を染めた美優が可愛くて。
でも考えてるのは他の男のことで。
悔しくなった。
お前をそうさせているのは俺じゃないんだって。
そしたらいつの間にか美優を組み敷いてた。
そのあとは少し覚えてない。
でも、このまま俺のものになれば…って思ったのも事実だ。
『りえ…ふ』
美優があいつの名前を呟いたときに我に返った。
潤んだ目元に後悔した。
咄嗟に手を離して誤魔化すように美優の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「やっぱり……俺じゃダメなのか…」
ずっと好きだった。
だからこそ俺のモンにしたかった。
でももう叶わねーな…
目の前の角を曲がってまっすぐ進めば体育館に着く。
そんな時
「黒尾さん!」
そう呼ぶのは、今1番聞きたくねえクソ生意気な後輩の声だった。