第7章 夏合宿1日目。
この違和感…疑問を解決しようと声をかけようとした。しかし疑問が答えに変わる前に他の体育館で練習していたやっくん、福永、犬岡が第3体育館に入ってきてしまった。
「あ、またスパイク練習ですか⁈俺ブロックやります⁈やります⁈」
犬岡くんはスパイク練をしていたことをめざとく見抜きそこに駆け寄る。福永はその後ろから何も言わずに練習に加った。
「おいリエーフ。転がってんじゃねぇ。レシーブ!」
「ゲェッ夜久さん…!」
「ゲってなんだ‼︎」
音駒の凸凹コンビのやりとりを見ながら蛍はふうと息を吐いたのを私は見逃さなかった。
『ちょっと、け「じゃあ僕お役ご免ぽいんで失礼します。」
声をかけようとした。けれど、蛍は流れに乗じて会釈をしながら体育館を出て行こうとする。クロも引き止めようとするがその声を聞いたのか聞かなかったのか蛍はそのまま体育館を出て行ってしまった。
「なんか…地雷踏んだんじゃないんですか黒尾さん…」
蛍が出て行くのを見た赤葦がぽつりと呟く。
「怒らした。」と木兎。
『完全に怒らせたね。』
そう言い、クロを見れば完全にやっちまったーって顔。
「大失敗じゃん。挑発上手の黒尾君。」
ニヤリと笑いながら木兎がクロを見るとはあ、とため息をつきながらいや…と話を進めた。
「だって思わないだろ。」
「何を?」
不思議そうに見る木兎にクロは説明をし出す。
「烏野のチビちゃんは確かに得体が知れないし脅威だけど、技術も経験もヒヨコだろ?それにあの身長だし。それをあの、身長も頭脳も持ち合わせてるメガネ君がチビちゃんを対等どころかかなわない存在としてみてるなんてさ。」
蛍は小さい頃からバレーをやっている”経験者”だ。それなのに後から出てきた技術も満たない日向くんを敵視…かなわないって思ってるなんて…
『なんか…冷めてるっていうか、諦めてるっていうか…』
何かに失望しているように見える。
まるで私みたい。
そう思いながら私は蛍が去っていった入り口を見つめた。