第7章 夏合宿1日目。
「もういっぽぉぉぉぉん!」
木兎の声が体育館に響く。
もう一本と言いつつ何本目だろう。そう思いながらコートを見つめる。
赤葦があげたボール。それを打とうとする木兎の体がぐんっ、としなる。木兎は蛍が作る高い壁をやすやす突破していく。
ばぢぃぃぃん
蛍の腕に当たったボールは勢いをそのままにコートに落ちた。
「よっしゃぁぁぁぁぁ!」
ガッツポーズで喜ぶ木兎に赤葦が冷静に呟く。
「1枚ブロックに勝っただけですよ」
「うっせーな!」
でもボールの威力がすごい…
ボールが床に落ちる音が床に響く振動が体に伝わる。
なんだか悔しそうな蛍の顔…
「じゃあ2枚でどーだ。」
ふいに聞こえるクロの声。いつのまにかクロが蛍の立つコートにいた。
『クロ⁈リエーフのトス練してたんじゃ…』
私と蛍がさっきまでクロがいた方向を同時に見る。
そこにはリエーフの屍…いや、しごかれすぎて動けなくなったリエーフの姿。慌ててタオルとドリンクを持ち駆け寄る。
『リエーフ?大丈夫?』
返事がない…
ただの屍…ううんなんでもない。
リエーフの頭を撫でながらコートを見れば、木兎はブロックが増えても嬉しそう。
今まで散々スパイク練してたのにまだやるって…どんだけ体力あるのよあの体力馬鹿。