第7章 夏合宿1日目。
「あっ、僕もう上がるので失礼しまーす。」
クロに声をかけられた蛍は愛想笑いをしながら食堂の方へ向かおうとしている。
「何⁈」
断られたクロを見て木兎も参戦しに行ったみたい。そりゃあ木兎がミドルブロッカー欲しいって言い始めたんだもんね。
「ブロック無しでスパイク練習しても意味ないんだよー。頼むよー。」
「なんで僕なんですか。梟谷の人は…」
うわぁ…蛍、嫌そうな声…
そんな中赤葦も蛍を誘いに向かう。まぁ1人で木兎のお守りは疲れるから、仲間を増やしておこうって魂胆かな?仲間がいた方が安心だし。
「木兎さんのスパイク練、際限ないから皆早々に逃げるんだよ。」
「俺はコイツ鍛えるのに忙しいんだよね。」
そう言い、クロはリエーフを指差す。床にへばりついているリエーフは頭を持ち上げしゃべる。
「だからっ俺がブロック飛びますってば!」
「うるせぇ!音駒でレギュラー入ってたかったらまずそれなりのレシーブ力つけろ!」
「うぐう…」
『レシーブ大事なんだから頑張りなよ?リエーフ。』
そう、床にへばりついているリエーフに言うと、私がいることに気づいた蛍が私の方を見た。
「…なんでマネージャーの美優さんが?」
『このクソ尾に連れてこられた。』
クロを指差して言えば、クロはわざとらしく反論する。
「クソって言うな!クソって!」
クロはこっちを見ながら叫ぶと蛍に向き合って話す。
「見えないかもしんないけど、コイツ全国で5本の指に入るくらいのスパイカーだから練習になると思うよ?」
クロが言うと、どうだと言わんばかりに木兎が、腕組みしドヤ顔してる。
「…3本の指にはギリギリ入れないですかね。」と赤葦。
「ドンマイ」とクロ。
『残念。』と私。
「落とすくらいならアゲないでください‼︎」
プンプン怒る木兎をよそにクソ…いやクロが蛍を挑発しにかかる。
「それに君ミドルブロッカーならも少しブロック練習した方がいいんじゃない?」
流石クロ、煽るのがうまい。今の言葉に煽られ火がついた蛍は何も言わないまま体育館に入ってきた。
とりあえず、目的のミドルブロッカーも釣れたことだし…再び練習開始!