第1章 わんことの出会い。
「「「おつかれっしたー‼︎‼︎」」」
部活の終了時間。みんなが備品の片付けをしている中、私はボトルを洗いに近くの水道に向かった。ブラシでガシガシボトルを洗っていると隣に人が立つ。
『お疲れ?リエーフ君って呼んだほうがいい?』
隣に並んだリエーフくんは水を出し顔を洗っている。
「別に…呼び捨てでいーっすよ?かたくるしーの苦手だし。」
『じゃあリエーフで。』
顔を洗ったリエーフはTシャツを引き上げグイグイ顔を拭いている。
『ちょっと!タオル使いなさいよ!』
リエーフは私の方をみてきょとんとする。
「タオルないっす。体育館に置いてきちゃいました。」
仕方ないなぁ…
私はポケットを漁るとタオル生地のハンカチを出す。
『これでよかったら使って?』
「…いいんすか?」
ぽたり、ぽたり。
言葉を発している間もリエーフの顔からは水の雫が滴り落ち、床を濡らしている。
『リエーフしゃがんで?』
不思議そうに首をかしげるリエーフにちょっとだけいらいらしてしまい、反射的に言葉を発していた。
『リエーフしゃがむ!」
運動神経の賜物とでも言うのか、私の声に反応してすごい勢いでしゃがんだリエーフ。
よし、やっと届く。
やっと私よりも下になったリエーフの顔を、私は持っていたハンカチで拭いてあげる。リエーフは私がやることに対してなすがままだ。
『Tシャツで顔拭いたら濡れたとこでお腹冷やすよ?ほら、手!』
素直に手を出してくれたからそのまま手も拭いてあげる。
『これでよし?…ってなに?』
なんかすっごく見られてる…
いや、見つめられてる…?
「なーんか…この体勢ってキス出来そうですね?」