第1章 わんことの出会い。
「おう、嬢ちゃん!また来てんのか?」
みんながストレッチをしているのを見学していると、白髪のおじいちゃん…猫又監督が直井コーチを引き連れ体育館にやってきた。
『猫又監督お疲れ様です。クロ…黒尾に頼まれまして…』
「前回来た時も同じこと言ってたぞ。じゃあ今日もマネージャーよろしく頼むなー。」
猫又監督はほっほっほと笑いながらいつものパイプ椅子に向かった。
『直井コーチもよろしくお願いしますね?』
いつも通り直井コーチにも挨拶をすると、直井コーチは心配そうな顔をしながら備品倉庫の鍵を私に渡す。
「よろしくって、お前受験生なんだから無理するなよ?」
『わかってますよ。ってか心配するんなら無理やり連れてきた黒尾の事なんとかしてくださいよ…』
「はいはい。」
そう、返事をすると直井コーチは私から目を離し、みんながストレッチをしている方に目を向けた。
「ストレッチ中断して一旦集合!」
直井コーチ、クロのことなんとかする気ないでしょ…
私はため息をつきながら必要になりそうな備品を取りに備品倉庫に向かった。