第7章 夏合宿1日目。
チーム毎のミニゲームが始まって少し経った頃、再び私のスマホが振動する。画面を一読すると、スマホをポケットに戻し私は叫んだ。
『烏野高校、到着しましたー!』
「じゃあ俺達案内してくるから各自練習な。」
「「「うーっす!」」」
そう言うとクロは海君とけんまを連れて駐車場にいる烏野高校のメンバーの元に向かう。私たちよりさらに遠方から来ている烏野。荷物持ちが必要だろうと玄関に向かいスニーカーに履き替えていると後ろからばたばたと足音が聞こえてきた。
「美優さん、俺も行きます。」
『まあ、いいけど。』
私の許可を得たリエーフは自分のスニーカーを玄関に置きさっさと履くと私の手を引く。
『ちょっ!私まだ履けてないっリエーフー!』
私は靴が履けないままリエーフに引っ張られて外に出た。日差しが刺すように暑い。リエーフに引っ張られながら駐車場までの長い石段を下る。
『ちょっとぉ!リエーフ止まってぇぇ!』
階段を下りきるとやっとリエーフは私の手を離した。そして前回の合宿で仲良くなったらしい烏野のオレンジ髪の子…日向くんと話し始めた。
「日向ーー!身長伸びたかー⁉︎」とリエーフ。
「リエーフうるさい。」とけんま。
「第一声から失礼だなたった2週間で伸びるか!」と日向くん。
そんな日向くんに「俺は2ミリ伸びたぞ!」とリエーフがドヤ顔すると日向くんがショックを受けている。リエーフに引かれ階段を駆け降りたせいで息が切れてうまく息ができず石段に座っていると私の頭上からなんとも愉快そうな声が聞こえてきた。
「小さい体をさらに小さくしてどうしたんですか?美優センパイ?」
くっそ…楽しそうにしやがって…蛍め…
息も整う前から私も嫌味を繰り出してやった。
『そっちこそ…さらに巨人になっちゃって……駆逐してやろうか…』
「逆にこっちが喰べてあげましょうか。脂が乗って美味しそうですし。」
『仮にも女に向かってそれを言うなんて……覚悟できてるんでしょうね…』
「覚悟も何もセンパイが僕に何かやれるとでも?」
『くっそ生意気。腹立つ。』
「そろそろ立てますか?」
そういうと蛍は私に手を伸ばしてくる。なんだかんだいって私の息が整うの待っててくれちゃうんだよね。生意気な癖して優しいよね…蛍は。
私はそのまま蛍の手を取り立ち上がると森然の体育館に向かって歩き出した。