第7章 夏合宿1日目。
ストレッチも終わり、ボールを使った練習に入り始めた頃、私のポケットが振動した。周りに気を遣いこそこそとスマホを見ると1件のメッセージが入っている。
蛍:埼玉に入りました。1時間以内で到着予定です。
文面を読んだ私はすかさず了解と返事を返した。
メッセージが既読になったことを確認し、スマホをポケットにしまうと、体育館に響くように声をかけた。
『烏野高校、1時間以内で到着です!』
「「「うーっす!」」」
前回の合宿の時からなぜか私は烏野の月島蛍と急激に仲良くなった。好きなバンドが同じだったからか親近感がわいたようで、ここ2週間ちょくちょくメッセージを送り合っていた。
あと1時間。
あのクソ生意気な後輩をどう言い負かしてやろうか。
ほんの少しだけわくわくとした気持ちを覚えると、私は声掛けを再開した。