第5章 初!合宿。
『うわぁ!すごっ!』
キラキラと輝く星空。
まるで空を流れる川のよう。
あれ?星の川…?
『リエーフ、今日って…何日?』
「7月7日です!」
七夕。
さっきリエーフがカレンダーを見てたのはこれか…
でも、天の川が音駒でも見れることに驚きを隠せない。
『でもすごいねー!この感じだと今年は織姫と彦星は会えたかな。』
我ながらメルヘンなことを言ってしまったなと思ったけれど、リエーフは背中にぺたりと張り付き体を抱きしめた。
「確か昔話の織姫と彦星は1年しか会えないんすよね。何ででしたっけ。」
『確か、織姫と彦星ってラブラブすぎて仕事しなくなったから離されちゃったんじゃなかったかな。』
「そうなんすか。でも、俺が彦星だったら川泳いででも毎日会いに行きます。美優さんの居る場所まで毎日行きます。」
さらりと私の髪の毛を一房掴み口付けたリエーフは柔らかく微笑んだ。
「俺なら彼女に1人で寂しい思いなんてさせません。」
なんでだろう。
リエーフは私の欲しい言葉をくれる。
嬉しい。
でも…嬉しい気持ちとは裏腹に裏切られたときのことを考えてしまう。
怖い。
『そろそろ時間だね、戻ろうか。』
俯いていた顔を上げると私は口元を笑みの形にし、リエーフを促し屋上から出た。
『リエーフ…ありがと。』
ぼそりと小さく呟いた声はきっとリエーフには届かない。
届かないんだ。