第5章 初!合宿。
私はその場に残った月島君に話しかけてみる。
『月島くん身長高いね。何センチ?』
「188.3デス…」
『月島くんって何年生?もしかして同い年だったりして。』
「僕、1年デスよ?」
月島くん、1年なんだ。大人びてるから3年生かと思ってた。今年の1年はでかい子ばっかりだ。リエーフに月島くんに。
『羨ましい。私も身長欲しいなぁ。』
「椎名さん…でしたっけ?確か3年ですよね。小さすぎじゃないですか、身長。」
『成長しすぎのひょろひょろよりはマシです。もやしみたい。』
「身長より別なところに栄養いってるよりはマシだと思いますケド。」
『腕ほっそっ!ブロックしたら腕折れそう。』
「僕成長途中なんです。もう成長しなさそうな椎名さんとは違って。」
なんだこの1年。
『ねえ月島くん、連絡先交換しない?』
「奇遇ですね。僕も聞こうと思ってました。」
この嫌味な感じ、毒舌。なぜか気が合いそうな気がして2人してスマホを取り出し、連絡先を交換する。
「合宿…楽しみができましたよ。いじめがいのあるチビの先輩がいるんで。」
『それはこっちのセリフ。そのチビに言い負かされるデカブツの泣く顔が早く見たいわ。』
「そういう強気な人、泣かせるの楽しみで仕方ないんですケド。」
『ドS』
「低身長」
『美優でいいよ月島くん。』
「けい…僕も蛍でいいですよ。美優サン。」
気が合う同士、お互いニヤリと笑うと私たちはお互いの学校に戻る。
素麺を作った鍋を見ると、余っていたはずの麺もスープもいつの間にか空っぽになっていて、男子高校生の食欲を思い知ったのだった。