第5章 初!合宿。
腹減り組が素麺をがっついている間、私はお味噌汁のお茶碗に麺を盛り汁を注ぐ。そして付き添い組の3人を呼んだ。
『どうせだし食べてってよ。余らせるの勿体無いし…えっと…赤葦くん、澤村くん、月島くん?』
「いえ…うちの学校の奴ら1番食ってんのに俺まで…」恐縮する澤村くん。
「なんか…すいません…」困り顔の赤葦くん。
「…僕、お腹空いてないんで……」やる気皆無な顔の月島くん。
そんな3人に私はお願い!と手を合わせて頭をさげる。
『味見して欲しいの。私、調理師希望だから…どうせあっちのメンバーに聞いてもうまいしか言ってくれなさそうだし。』
がっついて食べるメンバーを見ながら言うと、3人は納得したかのように器を手に取る。
「じゃあ…いただきます。」
「ほら、月島も食っとけ。」
「…はい。」
付き添い組は遠慮がちに箸をつける。
ひと口、またひと口
「中華風なんですけどしつこくないですね…むしろあっさりしてる…」
ちゃんとしたコメントありがとう。赤葦くん。
「鶏肉柔らかいですね?これ…本当に胸肉ですか?」
澤村くんは鶏胸肉の柔らかさに感動している。
『そうだよ。ぱさぱさしてないし固すぎないでしょ?調理方法にコツがあるの。』
「…まぁ、悪くないです……」
うーん…月島くんには不評…だったかな?
お目付役の3人がこちらに集中しているからか、少しずつ騒がしくなる部屋。
すいませんと呟くと、澤村くんと赤葦くんは一気に残りを流し込み仲間の元へ行く。
「ちょっと木兎さん!他校に迷惑かけないでくださいよ。」
「おい!西谷、田中!お前ら騒ぐな!」
いつの間にか私は月島くんと2人になった。