第49章 さくら、ひらひら。
私は駅に着くと、いつものスーパーに向かった。
今日の夜は何にしようかな。
そうだ。
リエーフの大好物、おいなりさんにしよう。
それに合わせたおかずも考えながらカゴに食材を入れていく。
いろいろなものを買った後はまっすぐ自分の家に帰宅。
制服を脱ぎ、ワンピースとカーディガンに着替え、制服をハンガーにかける。
3年間できるだけ綺麗に着た制服。
確か離任式でもう1回着るけれどそれ以外はもうおしまい。
クローゼットの中に私の青春と一緒に大切にしまいこんだ。
3年間ありがとう。
そう思うときっちり締めたはずの涙腺がまた緩み出す。
ぐっと息を詰めて涙が流れるのを抑える。
悲しいわけじゃない。
嬉しいんだ。
入学した頃、こんなに穏やかな気持ちで卒業できるなんて思ってなかったから。
手の甲で目をゴシゴシ擦るとクローゼットの扉を閉め、部屋を出る。
リエーフが帰ってくるまでご飯作らなきゃな。
リエーフが帰ってくるまであと1時間半。