第49章 さくら、ひらひら。
「卒業生、入場。」
その声とともに吹奏楽部が昔からよくある卒業ソングを奏で始める。
1回…
2回…
3回繰り返し、5組の私はやっと歩き始める。
在校生の列の中、ひときわ目立つプラチナを見つけ、私はふと笑みをこぼす。
リエーフ、目立つなぁ。
おっと…真剣に真剣に。
私は少し緩んだ口元をぎゅっと結び、式典に集中した。
ーーーーーー
「卒業証書、授与。」
うちの学校は、クラスの代表が証書を受け取ることになっている。
だって200人近くいるんだから一枚一枚渡してたら明日になっちゃう。
1組から順番に証書を受け取り、やっと5組。
「5組代表、黒尾鉄朗。」
そう、うちのクラスの代表はクロ。
なんせ、春高に出場した男子バレー部の部長なので。
クロはいつもより表情を硬くしながら登壇する。
っていうかあの寝癖、どうにもならなかったのかな…
今日も綺麗についてる。寝癖。
クロは滞りなく証書を受け取り自分の席に戻ってくる。
ぱちり
通路を歩いていたクロと目があうと、私達は目で会話。
「見てんじゃねえよ。」
『そっちこそ。』
きっとこんな感じだろうな、なんて思いくすりと笑ったら隣の千景に肘打ちされた。