第5章 初!合宿。
拗ねたような、悲しそうな、それでいて真っ赤に染まる顔。
『なんて顔してるのよ。』
「だから見られたくなかったんすよ…」
リエーフは目線を逸らし、大きな手で自分の顔を隠す。
「俺以外、美優さんのこと見て欲しくない…」
それってもしかして…
『嫉妬…してくれてるの?』
湧き上がる疑問をリエーフに尋ねればへにょりと下がっていた眉がきゅっと上がった。
「そーです!嫉妬です。合宿で一緒にいられるのは嬉しいんですけど、他の学校の人に美優さん見られるのは嫌だ…」
赤く染まった、いつもと違う『男の人』の顔をしたリエーフに、胸の奥がきゅんとする。
『心配しなくても私なんかを可愛いなんて言ってくれるの、リエーフくらいだよ?』
私を可愛いなんて思う人…いないよ。
なんて思っていれば、リエーフはキッと眉を上げ私に指摘する。
「美優さん、自覚ないみたいだから言っちゃうけど、Tシャツの胸元ざっくりしすぎ。おっぱいみえる!」
『ちょっ!リエーフのえっち!』
リエーフの指摘にとっさに胸元を隠ししゃがめば、今までより低く苦しげな声が降ってくる。
「美優さんは可愛いんだから…もっと自覚してください。じゃないと、早く俺のものにしたくなる。待てなくなっちゃいますよ…」
目の前が暗くなり、ふと顔を上げるとリエーフと目が合った。
拗ねたように言うリエーフがかわいくて私はそっとリエーフを抱きしめた。
その時である。
ぐううぅぅうぅう。
リエーフのお腹が鳴ったのは。