第1章 わんことの出会い。
『だ…大丈夫』
びっくりと照れ臭さで思わず顔を赤く染めると、規格外イケメンは不思議そうな顔をし、私に目線を合わせるように腰を折る。
そして顔を近づけてきて…
え?なに?
なんで顔近づけてきてんの?
コツン
おでことおでこを合わせた。
「熱はないみたいっすねー」
…ん?熱?
真っ赤な顔を熱があると勘違いしたらしい。
近づいた顔に余計頬を染めつつ慌てた声を出す。
『熱とかないから大丈夫⁉︎』
「ならよかった!」
ニコーッという擬音が似合うような笑顔。
なにこの子、めちゃくちゃかわいー!
「ってか誰?バレー部になんか用っすか?」
『今日いちおう見学予定…ってクロとやっくんから話聞いてないの?』
「クロ?ヤックン?」
銀髪イケメンは不思議そうな顔で私を見ている。
『黒尾鉄朗と夜久衛輔よ?その2人に見学こいって言われたんだけど。』
名前をいうとイケメンは納得したような顔して笑う。
「あー!黒尾さんと夜久さんは部室前ですれ違いました!そろそろくると思いますよ?」
イケメンの宣言通り、部室棟の方からざわざわと声が聞こえてきた。
「おい、リエーフ!入口に突っ立ってたら邪魔だっての。お!美優早えじゃん。」
『クロおっそい!ってこの子がリエーフ?』
これが噂のリエーフか!
身長高っ!それに加えてイケメンだし。
これはモテる。
1、2年と校舎違うから会わなかったし、知らなかった。
「ハイ。オレ、リエーフっす。このちっちゃい人、もしかして黒尾さんの彼女っすか?」
リエーフくんの言葉を聞いたクロは、「こいつ余計なこと言ったな…」って顔で1歩…いや、2、3歩後ろに退避する。
クロだけでなく、他の部員も被害を受けないようにとリエーフくんの周りから一斉退避する。
リエーフくんただ1人、不思議そうな声でキョロキョロ周りを見ている。
「俺知ーらね。」
クロが呟いたのと私が呟いたのはほぼ同時。
『今なんて言った…』
やっくんがやべ…と言いながら他の1年生を退避させたのを横目で見た後、私はリエーフくんににこり、と笑う。
「…え?」
『今、なんて言った?』