第1章 わんことの出会い。
『こんにちはー、椎名です。見学に来ましたー!』
バレー部が練習をしている体育館に着くと扉を開け、声をかける。
響き渡る私の声。がらんとした体育館。
…まだ誰もいないじゃん……
もう少しゆっくりくればよかった。
ここにみんないないってことはまだ部室で着替えの真っ最中だろうし…
どうしよっかなぁ…
どうやって暇を潰そうか考えたけれどいいアイディアは浮かばない。
まぁいっか。
中入ろ。
私は段差を登り、体育館に入る。光が入らないように暗幕が閉められた体育館は少しだけ空気が冷えてカーディガンを教室に置いてきたことを後悔する。
まだ誰も来てないし…部員じゃないんだから少しくらい遅れても問題ないから取りに戻るか。
私は入ってきたばかりの扉から出ようと振り返り進む
はずだった。
いつの間にか目の前に壁…いや、人がいた。
勢いよく突っ込んでバウンドした私の体は壁…もとい誰かに支えられ、そのまま胸…いや、お腹?にダイブする。
ダイブした時にふわりと香る爽やかな香り。
柔軟剤?
制汗剤?
いい香り。
「大丈夫っすか?」
私が突っ込んだ人が心配そうに声をかけてきたから、お礼を言おうと体を離した。顔を見て改めてびっくりする。
エメラルドグリーンの瞳
つり上がった目
サラサラの銀髪
なんだこの規格外のイケメンは。