第46章 ショコラの魔法を私にかけて。
洗濯物を干し終わった頃に起きてきたリエーフと朝食をとると、どこかに行こうかという話になった。
「バレンタインデーのお返ししたいです!」
『いや、ホワイトデーは来月だよ?』
「そんなの遅くて待てませんよー!」
お出かけー!と楽しそうに言うリエーフを見ながら微笑むと、私は立ち上がりリエーフに近づいた。
『じゃあ、着替えてくるね?』
おしゃれにしてきてくださいね?て言われてしまったので、私は悩みながら部屋に戻りクローゼットを開けた。
白のぴったりとしたタートルネックに裾にレースの付いた黒の制服風ジャンパースカート。
ネイビーの少し大きめサイズのVネックのカーディガンで制服風。
黒のピーコートと皮のリュック、ひざ下の編上げのブーツを合わせれば完成。
その格好でリエーフのところに戻れば、リエーフはにかりっと笑い、自分の服を選び出す。
白のワイシャツ、ベージュのカーディガン、黒のスキニーパンツ。
そして、ネクタイ。
防寒に厚めの白のパーカー。
色味は違うけど制服デート風。
「その格好なら三つ編みとか可愛いですよねー。」
なんて言いながらリエーフは私の後ろに回り髪の毛を三つ編みにし始めた。
『…うまいね?』
「アリサのよくしてたんすよ。」
ヘアアレンジは得意っすよー。なんて笑うリエーフ。
『リエーフ指長いし、手先器用だから美容師とか似合いそうだねー。』
ぽつり。
呟いてみるとリエーフの手が止まる。
不思議に思い振り返れば驚いたようなびっくりしたような顔。
『……どうしたの?リエーフ。』
「いや、なんでも…」
リエーフは惚けた顔をもどすと何かを考え込むように手を動かす。
聞こうとして、やめた。
1人で考えたいこともあるはず。
私はリエーフが小さな声で呟いた「これだ…」の声を聞かなかったことにした。
「できました。じゃあ行きましょ?」
にこり、リエーフが笑って手を伸ばしてきたから私はリエーフの手を取り玄関へと促した。