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あいつはねこまのわんこ系少年【HQ】

第42章 ねんまつねんし。〜初詣とその後。〜




『みんなで来たかったの。ここに。』

みんなを置いて私は走り出す。

「美優さん⁈」

慌てたリエーフの声に私はくるりと振り返った。


『きっと、本番じゃあ話する余裕ないだろうし。』









『私ね?この1年でバレーが大好きになった。

試合見てるとドキドキしてたまらないの。

がんばれーって大きな声で応援したくなるの。

でも私は音駒。

だから、今、いうね?』







私は一度区切るとおっきく息を吸い込んだ。




『がんばって!

みんながんばって!』




私は応援しかできないから。


だから、言うの。


「…んな風に言われちまったら、頑張らないわけにはいかねーな。」

「ですね。」

「だな!」

「…まあ、ほどほどに頑張りますよ。」

「美優さんに応援してもらったから俺、頑張れる!」



そう言うみんなに近寄ると私はみんなにぎゅーっと抱きつく。



『がんばって。』



「美優、それ、ちょっと違うくねーか?」

木兎の声で顔を上げると頬を掴まれ唇がくちばしみたいになる。


『ひょっほー!ほふほー!』

「美優も頑張るんだろ?春高はコート入るんだろ?だったら”みんなで頑張る”んだ!」



そっか。
試合に出てなくても、私も「頑張る」んだ。


すとんと私の心に落ちてきた「頑張る」の言葉。



私より数十センチも高いところにいるみんなの顔を見上げ、私は笑う。




『みんな、頑張ろうね?』













1月1日、明けゆく空の中、

私達は笑いあった。






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