第41章 ねんまつねんし。〜第3体育館組、再来。〜
side灰羽。
美優さんは目を瞑るとすぐにすうすうと寝息を立て始めた。
洗いたてのふわふわの髪の毛をそっと撫でていると、横から赤葦さんが覗き込む。
「美優さん寝たの?」
「はい。朝起きてからずっと動きっぱなしでしたから。」
「本当、美優さんって止まることができない人だよね?」
そう呟くのはツッキー。
「そういやあ、文化祭の時もヘロヘロだったよな。」
そう呟くのは黒尾さん。
「確かに。」
美優さんはいつでも全力投球。
それが自分の好きなことだと余計に。
たまにプツンと糸が切れたように休むからこちらとしてはいつもハラハラ。
だから俺の横だったら何も考えず休める。そんな風になればいいななんて思いながら過ごしてきたけど…
ふにゃりと笑いながら眠る美優さんをみて、俺もくすりと笑う。
「ちゃんと彼氏の顔してるじゃん、お前。」
そう、黒尾さんに言われはっと顔を上げた。
「甘えてるだけだと思ったら、違うみたいですね。」
周りを見ればにやにやと俺を見る8つの瞳。
「流石に甘えてばっかりじゃいられないですよ。」
俺だって男なんですから
そう、言えば真っ白になる視界。
「ムカつく…」
顔に枕を叩きつけられたらしい。
それを外し相手にお返しする。
「ツッキー覚悟!」
流石バレー部。
顔に投げた枕を綺麗にブロックし、枕はボスンと布団に落ちた。
「ほーら、美優寝てるんだから静かになー。」
黒尾さんに注意され、口をつぐむ。
「とりあえず4時まで自由な?うるさくしなきゃあ何してもOK。
そのあとは美優が起きれば始発で初詣。」
わかったかーと黒尾さんが言えばみんなは気の抜けた声で返事をする。
俺は…どうするかな…
美優さんの隣に横になり、俺は何をするでもなくスマホをいじり始めた。