第41章 ねんまつねんし。〜第3体育館組、再来。〜
私はリエーフが私の部屋で寝ているのを確認し、またキッチンへ戻る。
今日の夕飯はお稲荷さんに茶碗蒸し、肉じゃがなどなど。
汁物は具材たっぷりけんちん汁。
出来上がったところで時計の針は12と6を指し示している。
かたり。
美味しそうな匂いに誘われたのか、誰かがキッチンにやってきた。
「美優ぅー。はらへったー。」
『なんだ、木兎か。じゃあ煮物味見する?』
「やった!」
私は程よく染みたじゃがいも、人参、玉ねぎ、結びこんにゃくを小さな皿に乗せてお箸と一緒に木兎に渡した。
「いっただっきまーす!」
ぱくり。
口にじゃがいもを放り込んだ木兎は熱さで顔をしかめる。
「あっふ!」
『うそっ!お水お水!』
コップに水を入れ渡すと、僕とは受け取り喉を鳴らしながら全て飲み干した。
「あっちーけどやっぱうめーわ!」
にかりっ!
お日様みたいに笑った木兎は残りの肉じゃがをふーふーと冷ましながら口に含んだ。
『よかった。美味しいって言ってもらえるとやっぱり嬉しい。』
そう、私が言えば木兎は私の頭に手を乗せぐしゃぐしゃと撫でる。
「美優の飯は『幸せの味』だな!」
私がかぶるように言えば木兎は不思議そうに首を傾げた。
『さっき、赤葦に…って秘密だった!』
慌てて自分の口を塞げばふはっと吹き出した声。
「別にいいって!美優の飯うめーもん!食ってて幸せになる。」
『ならよかった。』
「飯できたんだろ?みんな起こしてくるな?」
そう返事して笑った木兎はそのままリビングに向かい、キッチンまで聞こえるような大声でみんなを起こした。
じゃあ、リエーフ起こさなきゃな。
みんなとは別の場所で寝ているリエーフを起こしにキッチンを出た。