第41章 ねんまつねんし。〜第3体育館組、再来。〜
「そんなことないですよ。」
声の方に顔を向ければ上目遣いの赤葦。
「自分が思ってなくても、美優さんはちゃんとみんなにいろいろしてあげられてます。」
『ほんと…?』
自信なさげに呟けば、赤葦はふわりと優しく笑う。
「本当ですよ。これは、秘密なんですが…
木兎さんなんか、美優さんのご飯は幸せの味だって言ってましたよ?」
『幸せの…味…?』
聞き返せば、赤葦は私から離れ体を起こす。
「作る相手のことをひたすら考えてつくる飯は1番うまい…だそうですよ?
あと、美優さんのご飯は食べると笑顔になるって言ってましたね…」
『…なんか木兎らしい。』
くすりと笑えば赤葦がそっと頭を撫でてくれる。
それをやんわりと制し、立ち上がれば後ろから声がかけられた。
「美優さんもたまには甘えればいいんですよ。
他人のことばかり気にしてると自分の幸せ逃がしますよ。」
その声に振り向いた私は赤葦に向かって笑った。
『大丈夫。いっぱい甘やかされてるから。』