第1章 わんことの出会い。
いつの間にか寝ている間に6時限目が終わり、ホームルームまで寝ていて担任にひっぱたかれ、あっという間に放課後になった。
帰ろうかな…なんて考えていれば、前の席から伸びる腕が私の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「いい寝オチっぷりだったな。」
『だってあの先生お経みたいな淡々とした喋り方するから…眠くて…』
「それわかる。まあ、ホームルームも終わったし行くぞ。」
行く…
どこへだっけ。
寝ぼけた頭で考えれば、ついさっきした口約束を思い出す。
そうだバレー部の見学だ。
『待って…準備する。』
もたもたと机に出ている教科書類をロッカーに戻し、課題やそれに必要な教科書を選んで鞄に入れた。
「ほら美優、行くぞー!」
私は眠い目をこすりながらカバンを持ち、入口で待っているクロの方に向かうとクロがニヤニヤ笑う。
「お前今、すっげえブス。」
『うっさいトサカ。』
女の子にブスって言っちゃダメなんだからね!なんて言い返していると、話を聞いていたらしいやっくんがぐいと首を突っ込んできた。
「今のはこいつが悪い。」
やっくんが親指でクロの方を指差す。そしてやっくんはやんわりと笑いながら私に提案してきた。
「眠いんだったら顔洗ってからくれば?俺ら部室で着替えるし。
一緒に行かなくてもいつもの体育館くれば誰かしらいるだろうしさー。 」
『んー。わかったやっくん。先いっててー。』
私はクロとやっくんに先に行かせるとすぐそばにあるトイレに向かい顔を洗った。水が冷たくて頭もスッキリする。
『…いくか』
気合いを入れ直すと私はトイレから出て体育館に向かった。