第41章 ねんまつねんし。〜第3体育館組、再来。〜
いつのまにか気付いたら外は夕日の差し込む時間。
あらかた準備はできたから、ちょっと様子見にでも…とリビングに行けば、木兎は床で、蛍とクロはソファで寝ている。
赤葦は机に向かって勉強…かな?
そっとキッチンに戻った私はコーヒーを片手にまた、リビングに戻る。
『赤葦、お疲れ様。』
そう小声で呼べば問題集から顔を上げる赤葦。
「終わったんですか?」
『取り敢えず…ね?コーヒーどうぞ?』
私からコーヒーを受け取った赤葦は私に向き合いながらコーヒーを飲む。
『リエーフは?』
「みんなが寝たあと部屋から出て行って帰ってきませんよ?」
『だったら…あそこかな…』
居場所の目星をつけ探しに行こうとすると、ふいに引っ張られる感覚。
後ろを振り返れば赤葦が服の裾を引っ張っている。
「美優さん、ココ…」
あぐらをかいたまま、膝を叩く赤葦。
「座ってください。」
赤葦は口端を上げて笑っていた。
有無を言わせない。
そう私に言うように。
こくり
1回だけうなづき、そっと足の間に座る。
「美優さんって…わかりやすいですよね…」
ぽつりと赤葦が呟く。
「これも、」
左手の薬指。
「これも、」
うなじのチェーン。
「灰羽(アイツ)からでしょう?」
指でアクセサリーをなぞる。
少しだけ硬い指の腹が首筋に触れ背中がぞくりと震えた。
『…っ』
「どうしたんですか?美優さん。」
いつのまにかお腹に回る手。
『あか「名前…いつになったら呼んでくれるんですか…?」
左手に添えてあった手が唇をなぞる。
「美優…」
『け…じ…やめて…』
「ちゃんと名前、呼んで…?」
甘ったるいはちみつみたいな声。
とろとろにとろけて何も考えられなくなりそうで怖い。