第41章 ねんまつねんし。〜第3体育館組、再来。〜
「お久しぶりデス…」
改札を抜けた蛍はぺこりと頭をさげる。
その後ろには蛍に似た蛍より少し身長の低い人がにこやかに近づいてきた。
「こんにちは。君たちが蛍のお友達?」
「はい。えっと…月島の…」
「月島蛍の兄の月島明光(あきてる)です。みんな、蛍と仲良くしてくれてありがとうな?」
にこりと笑った顔を見つめていれば、私に気づいたのか明光さんは私ににこりと笑いかけた。
「君が美優ちゃん?今回はありがとうね?これ、うちの母さんから。」
そう言って明光さんは紙袋を私に手渡した。
『ありがとうございます。そういえば、泊まるところって決まってるんですよね?蛍君、ちゃんと教えてくれなくて…』
「うん、大丈夫だよ。友達の所行くから。」
気、使わないでと微笑む明光さん。
さすが大人だなぁ。
『じゃあこれ。もしよろしければ…』
そう言って手渡したのはおみやげ屋さんで買った海老せんべいの詰め合わせ。
甘いものより飲みながらつまめそうなものをチョイスしてみた。
「そんな…悪いよ。」
『蛍君お預かりするのであまり気にしないでください。よかったらお友だちと食べてください。』
「じゃあ…ありがとね。美優ちゃん。」
ふわり
明光さんに頭を撫でられる。
恥ずかしい…というか照れくさくて、私は頬を染めながら目線を下に下げた。
「じゃあ俺行くわ。蛍、みんなに迷惑かけんなよー。」
「かけるわけないじゃん…」
「じゃあなー。」
そう言って明光さんは東京駅の中に消えていった。
「じゃあ俺たちも行こうぜ。」
「そうデスね。」
「腹減ったー!」
「木兎さん、さっき食べたじゃないですか…」
「俺も腹減ったー!」
『リエーフも?じゃあ、とりあえず荷物置きに家に行くよー?』
とりあえず私たちは東京を1周する緑の電車で私の家に向かった。