第41章 ねんまつねんし。〜第3体育館組、再来。〜
『ただいま!』
がさがさと袋を鳴らしながら走れば、さっきはいなかった木兎と赤葦も集合していた。
「お!美優!みーゆー!リエーフ!」
少し離れたところで私達を見つけた木兎はいつもと変わらぬテンションで私達を呼びかけながら大きな声を出す。
『木兎声おっきい!』
「木兎さんお久しぶりっす!」
リエーフと木兎が木兎が買ってきたご飯の話で盛り上がっているのを笑って見ていると、トントンと肩を叩かれた。
振り向けば、やっぱり赤葦。
「お久しぶり…って昨日電話しましたね。」
『でも会うのは久しぶりだね?赤葦。』
そう、私が言えば赤葦は私の左手を取りそっと口元に運ぶ。
「”京治”ですよ…美優さん。」
『…けい…じ…』
「よくできました。」
そう呟くと、赤葦は躊躇うことなく手の甲にキスをした。
「エメラルドグリーンの指輪。妬けますね。」
薬指にくちづける。
「それでも、俺のものにしたい…そう思います。」
手の平を赤葦の口に向けられ、ぺろり、赤い舌で舐める。
『ひゃっ‼︎』
突然のことに驚き、大きな声を出した私を周りの人が見る。
やらかした張本人…もとい赤葦は口元を押さえ、プルプル震えて…いや、笑っている。
『赤葦。』
「ごめ…なさ…まさか、ここまで…反応するなんて…」
周りも唖然としている。
「俺、あかーしがこんなに笑ってんの初めて見た。」
「俺も。」
「赤葦さんって腹抱えて笑うんすね。つか、美優さんに何してるんですか。」
笑いすぎてお腹を抱え始めた赤葦は息も絶え絶えになっている。
「ごめ…はいば…はらいて…」
『そのまま腹筋筋肉痛になればいいのに。』
「みゆさ…笑わせないで…」
笑いのツボがおかしくなった赤葦を眺めているとみんなの携帯が同時に鳴る。
「きたみてーだな。」
『だね。』
みんなが一斉に顔をあげると人より頭ひとつ抜きん出た月色の頭がこちらに向かってくるのが見えた。