第40章 冬休みまでのカウントダウン。
シン………
静かになる体育館。
『リエーフ…?』
「美優さんは俺の彼女っす!研磨さんにも誰にも渡しません!」
周りが注目していることに気づいていないリエーフはけんまにそう、言い放った。
けんまははぁ、とため息をつくとリエーフのジャージを引き寄せる。
「だったら…ちゃんと美優のことだけ見てなよ?他にうつつ抜かしてないでさ…」
そういうと、けんまは私の頭を撫でた。
「ジャージ、後で返してね?」
『うん…けんま、ありがとう。』
長袖のTシャツだけで、クロたちがいるところへ歩いていくけんまの後ろ姿を見ていると、頭の上にかけられていたけんまのジャージが取られ、代わりにリエーフのジャージが被せられた。
「他の人見ないで…俺だけ見ててください。」
『だったらリエーフも私のこと見ててよ。』
「見てますよ?」
『見てない。』
「見てますって。」
『女の子にお菓子もらってにやにやしてたくせに。』
「それは…腹減ったから…」
『リエーフは私の彼氏でしょ‼︎だったらよそ見しないで‼︎』
ぐいと顔を引き寄せればリエーフはへにゃりと笑う。
『私、怒ってるんだからね?』
「だって…美優さん可愛くて…ちゅーしてもいいっすか?」
『ここ、体育か…』
最後まで言葉は紡げなかった。
ちゅっと音がしたかと思えば、体育館の入り口からきゃーという女の子の叫び声。
「しちゃいました!」
「アホか!お前は!」
ばっちいいいん!とリエーフから音がする。
「いってえええええ!」
『クロ!』
「お前もだ馬鹿野郎!」
『いだいっ!』
リエーフにはボールが後頭部に直撃、私にはおでこにデコピンをくらい、2人して痛みに悶絶する。
「研磨が上着なしで帰ってきたかと思ったら…
部活の時くらいいちゃいちゃやめろって…」
「『すいません…』」
「ほら、部活再開すんぞ!」
そういうとバレー部は部活を再開。
ちらりと体育館の入り口を見れば先ほどより女子の数が減ったような気が…
まあ、よかったの…かな?