第40章 冬休みまでのカウントダウン。
無事、春高予選を通過した音駒高校男子バレー部。
その情報は瞬く間に学校中に伝わり、バレー部員は時の人となった。
ぶっちゃけ女子の見学が増えた。
人気はクロとリエーフ。
その他のメンバーはほどほど。
リエーフが何かするたび黄色い声援。
ちょっと嬉しそうな顔してるリエーフをぶすーっとした顔で見てたら、いつのまにか隣にいたけんまが眉間を突いた。
「美優、眉間のしわ…」
『ごめん…』
「毎日すごいね…見られてるとなんか疲れる。」
今は休憩中。
目の前に立っていたけんまは壁に寄りかかりながら座り、自分の横をとんとんと叩く。
けんまの横に座ると、けんまは私の方に頭をもたれかける。
『けんま?疲れちゃった?』
「ううん…美優充電中。」
『なにそれ。』
ぷっと吹き出すと、けんまは小さく笑う。
「やっと笑った…今日、笑った顔見てないから…」
けんまの言葉で私がいかにむすっとした顔をしていたかがわかる。
不機嫌の原因は、休憩が始まるとともに差し入れを頂きに黄色い声の集団に突っ込んでいった。
『にわかファンだってこと分かってるんだけど…やっぱり嫉妬しちゃうよ。』
そう言い落ち込む私を見たけんまは、おもむろにジャージを脱ぎ私にかぶせた。
『け、けんま?』
「おれは美優に絶対そんな顔させないよ?」
そういうと近づくけんまの顔。
キス…される?
かぶせられたジャージの上から頬に手を添えられ、逃げることができない。
5㎝
4㎝
3㎝
「研磨さん!なにやってるんですか‼︎」
ぐいと後ろに引かれ、後ろから抱きしめられる感触。
『リエーフ…』
「いいところだったんだから邪魔しないで…」
鬱陶しそうに、リエーフを追い払おうとするけんま。
そんなけんまの声を聞いたリエーフは、私をさらにぎゅっと抱き寄せ体育館中に響く声で叫んだ。
「美優さんは俺のです‼︎」