第39章 お宅ほうもん。
「アリサッ‼︎勝手に美優さん連れてかないで‼︎」
「だって、早くパパとママに見せたかったんだもの。」
リエーフも後からやってきてわちゃわちゃしていると、リビングのドアから笑い声。
「ほらほら、美優がびっくりしてるよ?」
少しだけ色素の薄いダークブラウンの髪。
瞳も色素が薄めのブラウン。
顔の作りはリエーフを大人っぽくした感じ。
うん。やっぱりイケメン。
そのイケメン…いや、リエーフのお父さんらしき人は私に近づき目の前に立つと 片膝をついてしゃがんだ。
「初めまして。灰羽リエーフの父の灰羽良彰(はいば よしあき)です。よろしくね?」
そう言い手を伸ばす。
『よろしくお願いします!』
伸ばされた手をぎゅっと握ると暖かくて力強い手でぎゅっと握られる。
あ、知ってる。
この力強さ。
あったかさ。
目線の優しさ。
リエーフといっしょ。
自然と笑顔になる。
嬉しい。
あ、そうだ。
『あの、今日はお家に呼んでいただきありがとうございます。
これ、皆さんで食べてください。』
腕にかけていた紙袋をリエーフのお父さんに手渡す。
不思議そうに袋を覗けばびっくりした顔で私を見る。
「これ、全部作ったのかい?」
『はい…』
「こっちにもまだあるよ?」
リエーフが小さな箱をリビングの机に置く。
「美優ちゃん、すごーい!」
うん。作った。
リエーフといっしょに作ったゼリー。
あとはクッキーにロールケーキ。
ちなみに、パウンドケーキとガトーショコラも作ろうとしたんだけどリエーフに止められた。
「美優はすごいね?じゃあ、食事が終わってからみんなで食べよう?」
「「はーい。」」
「レーヴォチカ♡これ、冷蔵庫にお願い?」
「はーい。」
そう返事をするとリエーフは私の作ったデザート達を持ち、キッチンに向かった。