第38章 しあいのあと。
「美優さぁぁぁん。 俺、風呂終わったんですけどー!」
不機嫌な声が聞こえ顔を上げれば不機嫌な顔。
『あ、あれ?もう?』
「もうって9時過ぎましたよ?」
『うそっ!』
慌てて時計を見れば9時をとっくに過ぎていて…
確か、アリサさんから電話もらったのが7時くらいだったから…
1時間以上キッチンにこもってたのね…
『あと、これ焼いて、ゼリー作るだけだから…』
そう、オーブンの鉄板とゼリーの材料を見せれば、何かに気づいたようなリエーフの顔。
「あれ?ゼリーってさっきの…?」
『そう。2層の。一緒にやらない?』
先ほどまでご機嫌斜めだったリエーフは私の提案を聞くと、極上の笑顔を見せる。
「やりますっ‼︎」
『じゃあ、あとちょっとだけ待てる?コレ、オーブンに入れちゃうから。』
「はいっす!」
そういうとリエーフは、私の邪魔にならないようにキッチンの入り口に移動する。
私は、あらかじめ予熱していたオーブンに鉄板を入れ、時間をセットするとリエーフに向き合う。
『お待たせ。一緒に作ろ?』
そう声をかければ、うずうずとしていたリエーフが勢いよく返事をした。