第37章 ネコとヘビ〜ねこま、ピンチをチャンスに〜
戸美1回目のタイムアウトを挟んで試合再開。
リエーフは必死にボールに飛びつく。
必死すぎてブロックのとき手を振り回していることに気づいているかな…
いつもならここでやっくんの怒鳴り声が聞こえるんだけどな…
ふうとため息をついたことで、暗い気持ちになってしまったことに気づき、その気持ちを追い払うようにふるふると顔を振った。
でも、梟谷の試合に比べたらワンタッチの回数は格段に増えた。
それだけボールへの反応速度が速くなった。
しっかりボールを見れてる証拠。
梟谷との試合で気持ちだけが先走ってボールを打ち返せなかったのが嘘みたい。
さっきみたいにイライラしてるわけじゃない。
きっといける。
音駒は先に20点台に乗った。
そのあと、点を取られてしまいサーブ権は戸美に。
ピンチサーバーが打ったボール。
ネットに当たりボールの軌道が変化したのをギリギリでクロが拾う。
海くんがカバーし、福永がうまいコースでスパイクを打った。
福永はボールの打ち分けがうまいから多分入る!
そう思っていれば、戸美の選手がボールが落ちる方へ走る。
ライン付近に落ちるボール。
選手2人が叫ぶ「アウト」の声と滑り込む体。
アウトの判定を出す線審。
『今の…』
ラインが選手で隠れた…?
いや、そんなことはない。
ギリギリまで追ったから…
だから…
さっきもあったな…こんな判定…
わざと…じゃないよね?
ざわりざわりと不安になる。
ピーっとホイッスルが鳴り音駒が2セット目2回目のタイムアウトをとった。