第37章 ネコとヘビ〜ねこま、ピンチをチャンスに〜
リエーフのサーブミスで1点取られた後、リエーフと芝山がチェンジ。
サーブは戸美。
気になってはいたけどさっきから戸美のサーブ、山本を狙ってるように見える。
エースナンバー4番を背負う山本。
狙われる確率も高い。
でも、山本は綺麗なフォームでレシーブを上げる。
なぜ、山本がエースである4番をつけてるのか。
やっくんやクロに隠れてあまり目立たないかもしれないけれど山本は守備もうまい。
合宿の時にリエーフに言っていた言葉。
「守備もろくにできない奴はエースとは呼ばないんですぅー!」
言い方は確かにふざけていたかもしれないけど、山本はちゃんと守備も攻撃もどっちも上手、かつ丁寧。
そして練習の時も本当に真面目。
まあ、たまにアホみたいにふざけたりもするけど….
でも、努力を怠らない真面目なヤツなんだよね。
だからエースナンバーの4番は山本なんだ。
メンタルもそこそこ強くていつもはアホみたいなノリで言い返したりガン飛ばしたりするのに、やっくんが抜けてからはそれがない。
山本はいつも以上に真剣な顔で前だけを見てる。
進む試合。
リエーフがブロックで弾いたボール。
角度が急に変わったボールを山本は綺麗に上げる。
そして、けんまからトスを呼び自らの手でスパイクを打ち、得点を決めた。
「すごーい…」
『山本ナイス!』
そわり、そわり
嬉しそうな顔ででもなんて声をかけたらいいかわからないあかねちゃん。
口元は笑顔。体はそわそわ。
全身から嬉しいオーラがにじみ出ていた。
コートでは得点を決めた山本がリエーフに向かい、「守備もろくにできない奴は〜」のくだりをやっている。
『さっきまで格好良かったのに…』
もったいない…