第36章 ネコとヘビ〜春高代表決定戦2試合目〜
リエーフのブロックにあたり、ボールがコートの外に飛ぶ。
必死で走った山本がギリギリでボールを上げた。
それでもボールは外へ外へと飛んでいく。
落ちる…
そう思った時、落ちるボールの真下。
フェンスを飛び越えながらやっくんがボールを相手コートに飛ばしていた。
ボールは油断していた相手コートに入る。
戸美の選手がボールに飛び込み、やっとで返した
ところに、
いたの。
リエーフが。
リエーフは高く上がったボールを必死の形相で打ち抜いた。
会場内は静まり返り
スパイクを決めたリエーフをみんなが見つめていた。
「ダイレクトーッ‼︎‼︎」
「レーヴォチカー♡」
2人と会場が喜ぶ中、私は声も出せなかった。
リエーフが格好良くて声が出なくて…
ぞくり、ぞくり
背筋が震える。
『リ…エフ…』
コート内ではしゃがみこむ大将くんをリエーフはネット越しに見つめ、にやり、と笑う。
やめて
そんな顔しないで
そんな顔されたら私、
あなたのこと、もっと好きになる。