第36章 ネコとヘビ〜春高代表決定戦2試合目〜
「ああ!もう、クソッ‼︎」
コートから聞こえる悔しそうな声。
ボールをどシャットして音駒の得点…そう思ったら、審判から告げられたタッチネットのジャッジ。
クロもやっくんもリエーフがイライラしてるのを感じ取って声がけをしているけど…
もやもやする心。
つい、試合でなく下を向いてしまう。
ばっぢいいいん‼︎‼︎
コートから聞こえたいつもと違う音。
慌てて目線をコートに戻せば、ネット前で左目のあたりを手で覆う山本。
声をかけながら近寄るリエーフ、そしてコートのみんな。
思わず叫びだしそうになる口を両手で押さえる。
血は?
頭は打ってない?
目は大丈夫?
不安が頭をよぎる。
そんな中、ネット越しに山本にボールを当てた大将くんは山本に向かって謝るように頭を下げた。
「大丈夫…みたい…だね?」
「…うん」
「相手の人、ちゃんと謝ってる…スポーツマンだね。」
「…うん…」
やっぱりもやもやする。
なんだろうこの、拭いきれない不安は。
コート内、相手コートを見るけんまの顔がやけに嫌そうな顔をしているのも私を不安にさせる要素の一つ。
けんまがあんな顔するなんて珍しくて…
ピーー
音駒がこの試合1回目のタイムアウトをとった。