第3章 嘘だ、私は信じない。
みんなの分が食べる分をよそい、各テーブルに配るとみんなは一目散に食事にありつく。
そんな姿を見ながら私は洗い物をしていた。
リエーフと一緒に。
「なんで俺洗い物なんすかー!」
『摘み食いしたから。』
「唐揚げと竜田揚げと出し巻きたべたいー!」
『摘み食いした人にはあげません。』
「……豚汁食べちゃってすいませんでした。」
『あげない。』
かなり凹んだ顔で洗い物をしているけれど許してあげない。
…食べ物の恨みは怖いんだからね。
落ち込むリエーフを尻目に私はみんなの方を見るとにっこり笑って言った。
『みんな食べ終わったら食器、リエーフに預けて帰ってねー。』
「「「うーっす!」」」
『残さず食べてねー!』
「「「うーっす」」」
「はらへったぁぁぁぁぁぁあぁあ」
「摘み食いするリエーフが悪いっす!ご馳走様でした!」
「今日も美味しかったです!ご馳走さまでした!」
『お疲れ様ー!』
犬岡君と芝山君はリエーフに食器を預け、一緒に帰って行った。
1年生に味方はいなかったようで、唇を尖らせながら受け取った食器を洗っている。
2、3年もリエーフに食べ終わった食器を渡して帰っていった。
腹減ったとぼやきながらも、リエーフはみんなが預けていった食器を一生懸命洗っている。
部活で扱かれ、消耗したお腹をぐるぐると鳴らしながら。