第35章 ねことふくろう〜代表決定戦1試合目〜
走り、観客席に着くと同時。
観客席から、わああと歓声が上がる。
席から身を乗り出すように会場を見ると、歓声が上がった理由がわかった。
木兎だ。
木兎が上に着ていたジャージを脱ぎ捨てたのだ。
目立つこと、好きだねー。
あ、ちなみに木兎が投げ捨てたジャージは赤葦が床に落ちる前に拾って白福ちゃんに手渡してました。
赤葦…すごいな…
「椎名さん!」
かわいい声が私を呼ぶ。
後ろを振り向けば前回の大会と同じ、右肩に拡声器を持ったあかねちゃんが私に手を振る。
その隣にはアリサさん。
「今日は音駒ジャージなんですね?」
『そうだよ。みんなとお揃いなの。』
「あ、そろそろ始まるみたいよ?」
ホイッスルが鳴り響く音で私はコートを見る。
コート中央では木兎とクロが握手をしていた。
梟谷の応援。
吹奏楽の応援歌。
それに合わせたチアリーダー。
音駒にはない華やかな応援が繰り広げられる。
コート内ではリエーフがチアリーダーを見て羨ましそうな顔をしている。
チアにうつつ抜かしてんじゃないわよ!
そう目線を送ればリエーフはぱっとチアリーダーから目線をそらした。