第3章 嘘だ、私は信じない。
『合宿でのマネージャー⁉︎』
いつもは梟谷(ふくろうだに)、生川(うぶがわ)、森然(しんぜん)、そして音駒で合宿をしているらしいのだが、今年は宮城県から烏野(からすの)高校も来るらしく、部員の数に比べてマネージャーの数が圧倒的に少ないらしい。
で、マネージャーのいない音駒はバレー部にちょくちょく出入りしている私に白羽の矢が立ったというわけ。
『…で?合宿っていつ?』
「7月初めの土日、夏休み入ってすぐに1週間、8月末の土日、10月頭の土日。計4回。」
クロに日付を聞いた私は今後の予定でわかる限りのことを必死で思い出す。
『後半2回は受験の関係でどうなるかわかんないけど…前半2回は…なんとかなるはず。でも私なんかで大丈夫…?』
「嬢ちゃん、お願いできんかのう?」
思わぬ声に後ろを振り向くと、さっきまでいなかったはずの猫又監督が私の後ろにいた。
『猫又監督!』
「嬢ちゃんならいつもマネージャーの仕事やってくれてるから大丈夫、あとな。」
猫又監督はこっそり私の耳元で囁く。
「マネージャーやった分はうちで部活をしたと認めてくれるらしいぞ?その分部費上乗せしてくれるらしい『やります。』
「即答かよ!猫又監督何言った⁉︎」
驚くクロに猫又監督はニヤリと笑う。
「嬢ちゃんが動いてくれる魔法の言葉…とでも言っておこうかの?」
「美優さんも合宿くるんすか?やった‼︎」
体育館の入り口から、リエーフが話を聞いて駆け寄ってくる。
…あれ?リエーフ今来たの?私が体育館に来てからしばらく経ってるけど。
…口、動いてるな。
『ねえ、リエーフ。何か食べた?』
目を見て問い掛ければリエーフは私から目を逸らす。
悪い予感がして急いで調理室に戻れば横にはなぜかクロ。
「もしかしてリエーフやらかしやがったか?」
『あの感じは多分そう。』
調理室のドアを開け、急いで豚汁の蓋を開けるとみんながおかわりできるようになみなみに作ってあった豚汁はそこそこの量まで減っていた。
『リエーフ…?』
後から追いかけて来たらしいリエーフが調理室の入り口から覗いている。
「腹減っちゃって…」
にへら、と笑っているリエーフの方を振り向くと私はリエーフに雷を落とす。
『リエーフには今日は豚汁なしー!』
「ごめんなさーーーい!」
私は減ってしまった豚汁を見て深いため息をついた。