第3章 嘘だ、私は信じない。
リエーフの報告を聞いた私は調理室を飛び出し体育館に走った。
体育館には休憩中のバレー部メンバー。
『ちょっとクロ‼︎リエーフがレギュラーって本当⁈』
突然の私の来襲にびっくりする周りをよそに私はクロに突っかかる。
「おー美優。今日のメシ何?」
『今日は豚汁におにぎり…ってそこじゃない‼︎』
「豚汁!やったー。今日めちゃくちゃ腹減ってんだよ!」
私の声を聞き、やっくんの頬が綻ぶ。
そしてけんまもつられて微笑む。
「美優の豚汁…あっさりしてるから好き。」
『もうすぐできるから楽しみにしてて…ってちょっと話聞いてー!リエーフがレギュラーって本当⁉︎』
私が聞くとやっとクロが私の質問に答えてくれた
「ああマジ、大マジ。さっき猫又監督がそう言ってった。」
リエーフがレギュラー…
”あの”リエーフが⁉︎
トス上がってもボールが手に当たらないあのリエーフが⁉︎
レシーブすると思ったところにボールが飛ばないリエーフが⁉︎
「たぶんみんなも美優と同じこと思ってるよ…」
驚きを隠せない私にやっくんが遠い目で呟く。
「研磨なんて前よりさらにスパイク練付き合わされることになったしな。」
クロの言葉を聞きけんまを見ると、史上最強に落ち込んでる。
「でさ、ちょっと美優チャンにお願いがあるんだけど…いいか?」
クロがチャン付けで私を呼ぶとか…
何かとてつもなく嫌な予感がする。
…厄介ごとに巻き込まれる前に逃げよう。
『しっつれいしましたー「逃げんなって、美優チャン?」
逃げようとしたけれど、クロに肩を掴まれて逃げられない。
『拒否する!断固拒否する‼︎つかちゃん付けとかマジでキモい!』
「うるせー!話くらい聞けよ‼︎」
『嫌な予感しかしないから嫌だ!』
「黒尾…ここまで嫌がってるんだからさ…」
呆れてやっくんが口出してくれたけどクロは聞く耳を持たない。
「いや!こいつしかできねぇだろ…」
とりあえず私は逃げ出すのを止めることにしてその場に止まった。
『とりあえず話は聞く。用件を飲むか飲まないかはその後でもいいでしょ?』
「そういう聞き分けの良いところ、好きだぜ?」
ニヤリと笑うクロの胡散臭さに思わず顔を顰める。
『クロの好きは信用できない。つかキモい。』
「うるせえな。」
クロはわざとらしくはあとため息を吐き私に向き直った。