第33章 ThankYouForComingToTheWorld
いつもより少しだけ腕によりをかけて作ったご飯を食べ、満足そうな顔をするリエーフ。
少しお腹を休ませた後、私はトイレに行くふりをしてキッチンに立ち寄り、紅茶の準備をし戻る。
「紅茶?ってことは…?」
『誕生日って言ったら…アレだよね?』
「あるんすか!」
私は急いでキッチンに戻ると「アレ」を持ち、リビングに戻った。
『リエーフ?』
くるりと振り返るリエーフ。
『誕生日おめでとう。』
そう言うと私は綺麗に飾り付けしたショートケーキをリエーフの目の前に置いた。
『ろうそく刺す?』
「刺したらもったいない!」
そう言いながらリエーフはケーキの写真を何枚かパシャパシャと取ると、私を見つめてきた。
『じゃあ切るよー?』
「はーい!」
私は包丁を構えケーキを1/4と1/8に切り分け、大きい方をリエーフに渡す。
『じゃあ、せーの?』
「『いただきまーす!』」
フォークで切り分けぱくりと一口口に放り込む。
生クリームが口の中で解けてじわり…と溶ける。
スポンジもふわふわ。
美味しい…
リエーフも美味しかったようで1/4あったはずのケーキはパクリパクリと口の中に消えて行く。
私も2口目、3口目とフォークで掬い口に運んでいく。
私とリエーフはほぼ同時にケーキを完食。
『美味しかったね?』
そう、リエーフに話しかければリエーフがニコッと笑いながら自分の顔を近づけてきた。
ぺろんっ
リエーフは私の頬をぺろりと舐め、目を細め笑う。
「クリームついてましたよ?」
不意打ちでそんなことされたら照れるにきまってる。
『あり…がと…』
ぽそりと呟くと、
リエーフはにこり、笑った。
『あ…そうだ。ちょっと待ってて?』
顔の赤みをごまかすため無理やり話をそらした私は、1度部屋に戻った。