第31章 たたかい。
side灰羽
「俺たちは血液だ…」
主将の黒尾さんの掛け声で始まる円陣。
指輪は鞄に大事に仕舞ってきた。
エアーサロンパスの香り漂う体育館。
キュッキュッと鳴る美優さんに選んでもらったシューズ。
いつもの赤いユニフォーム。
背中に背負うのは11の数字。
手首に香るフレグランス。
大きく息を吸い、吐く。
勝とう。
勝ち続けよう。
美優さんの笑顔が見たい。
だから俺はボールを追いかける。
不純な動機かもしれない。
それでも…
ホイッスルが鳴り響く。
さあ
血液のように
滞りなく流れろ