第31章 たたかい。
結局、あの後急いでスーパーに寄って買い物をして帰宅。
急いでカツ丼を作った。
本当に作りたてのカツ丼。
出来上がった頃にはぐったり…
でも…
「んまー!」
目の前には百点満点の笑顔でカツ丼を頬張るリエーフ。
リエーフが喜んでくれてるからいいか。
そんなことを思いながら私も隣でカツ丼を食べる。
卵もふわトロ、カツもいい感じ!急いで作ったお吸い物も薄味でカツ丼と合ってる!
すごく急いだけど作ってよかった…
丼から勢いよく口に運ばれていくカツ丼を見れば、私もしっかり食べなきゃと箸を動かし始めた。
ごはんも食べ終わり、お皿を洗うとソファーで幸せそうにくたーっとしているリエーフの元に向かう。
『早めに帰らないと電車なくなるよ?』
「その時は泊まらせ『ません。』
「ですよねー。」
私の否定の言葉に誤魔化すようにえへへと笑ったリエーフの隣に座るとリエーフは隣からぎゅーっと抱きついてくる。
『本当に帰れなくなっちゃうよ?』
「お腹いっぱいで動けない…」
『もう…』
リエーフの髪の毛をそっと撫でればごろごろと私に擦り寄る。
幸せだなぁ…
頬に唇を寄せればリエーフもお返しとばかりに頬に唇を落とす。お互いに唇を寄せ合うと、顔を見合わせ笑い合う。
『春高予選、頑張ってね。間に合ったら応援にいくから。』
「美優さんも試験、頑張ってきてください。」
リエーフは私の左手を取り、指輪が光る薬指に口付けた。
文化祭の後、2人で出かけて買ったお揃いの指輪。
綺麗な石が1つだけついたシンプルなもの。
リエーフにはオニキス。
私にはジェムシリカ。
なんでこれにしたかって?
指輪を見ていたときにリエーフみたいな綺麗な緑色に目を惹かれたから。それを言ったらリエーフは、「じゃあ俺は美優さんの色。」ってオニキスを手に取った。
石の意味なんて知らない。
それでも、指輪を見ればリエーフの笑顔が浮かんでくるこの指輪が好きで好きでしょうがない。私もリエーフの左手を取り、そっとオニキスのはまる薬指に口付けた。