第31章 たたかい。
『ねえ…リエーフ?』
「なんすか?」
『自主練するんなら先に帰ってたー!』
結局自主練含めた練習が終わったのは午後7時50分。体育館を閉めたあと、私はリエーフに引きずられ誰も居ない男子バレー部の部室に来ていた。今から買い物しなきゃならないし、帰ってカツ揚げてそれからカツ丼…正直気が重い。
『明日も学校なんだから泊めないよ?』
「わかってますって。」
そう言いながらリエーフは制服を適当に鞄に詰め、鞄のファスナーを閉めようとする。
『ちょっと待って…リエーフ、制服鞄から出す。』
「へ?」
『シワになるでしょ!早く出す!』
えーなんて言いながらリエーフはぐっちゃぐちゃの制服を鞄から出す。出された制服のシワを伸ばしながらたたみ、リエーフに手渡すとリエーフは私の手元を覗きながらにこにこと笑っている。
「美優さん俺の奥さんみたいですね?」
『っ…帰る!』
"奥さん"の単語がやけに気恥ずかしくて火照った顔。
なんとなく現実じみた言葉にうまく言葉を返せなくなり、それを誤魔化すように私は立ち上がりると、鞄を持って部室の入り口に早足で近づいた。
しかし、私は入り口までたどり着くことができなかった。
『っ!ひゃっ!』
床に転がったダンベルに足をひっかけ床にこんばんはをした。
誰?足元にダンベルなんて置いたの。
足痛いし…
「美優さん、今日のピンクのレースもかわいーっすね。足大丈夫ですか?」
言われて気づく。スカートがめくれていることに。慌ててスカートを直すけど精神的なダメージがきつい…
『リエーフ…一言多い…』
べちゃりと床に潰れた私をリエーフはよいしょと抱え起こし、怪我がないかを見てくれている。